福井県小浜市の古民家リノベーション:栞デザイン
築300年の古民家

去年の暮、福井県小浜市平野のまちを訪れました。

小浜市は古くから日本海側屈指の要港として栄え、陸揚げされた各地の文化や物産品、地元若狭の山海里の豊かな食材は、ここから「鯖街道」を通って京都や奈良などの古都へ運ばれました。
そして当時の賑わいを象徴するかのような町屋や土蔵などの古民家は、今なおこの周囲に存在しています。

今回、ご縁があってこの地にたたずむ築300年の古民家を訪れました。
解体して更地にするか、建物を将来にわたり残し有効活用するか…所有者様は思案しておられました。

屋根にはトタンがかぶせられていましたがそのすぐ下は茅葺。太い柱や梁。

時間は経過していましたが構造にゆがみなどは見当たらずいかにも堂々としています。
何よりこの建物自体が体験してきた時間とその空間での人間の営みの記憶のようなものが心に押し寄せてきて何とも言えない気持ちになりました。

壊してしまうという選択肢もある中で何かできることはないのか。
耐震診断や改修は必須として、ただ住むだけではなく、地元の人々と共存しながら有効活用することはできないのか。
今までの300年を今後どのくらいの将来まで在り続けられるように、何ができるのか。

難しいのだけどなぜかワクワクするような思案に明け暮れる日々です。

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